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次のキリンが、見えてくる
飲みもの・お酒

日本で磨いた“らしさ”を携え、世界へ。進化し続ける「キリン 氷結®」のこれまでとこれから

  • チューハイ・カクテル
  • キリンビール
大きい窓の傍にあるテーブルと椅子に座って対話する松村孝弘とレイチェル・エラーン。テーブルにはキリン 氷結®の缶が3本並び、そのうちの1本を松村孝弘が手に取っている

誕生から25周年を迎えた今も進化を続けている「キリン 氷結®」。近年は日本国内にとどまらず、オーストラリアやニュージーランドをはじめとするグローバル市場へも広がっています。

時代のなかで氷結®はどのように進化してきたのか、どんな戦略を持って世界進出をしたのか。今回は、RTD(※)ブランドの舵取りを担うマーケティング担当の松村孝弘と、グローバルケイパビリティ向上を推進するレイチェル・エラーンが対談。長年受け継がれてきた「Always New」の精神と、世界共通のマーケティング指針をまとめた「氷結®Global Brand Book」制作に込められた想いに迫ります。

※RTD:Ready-To-Drink。蓋を開けてそのまま飲める缶やボトルなどのアルコール飲料。

レイチェル・エラーン(Rachel Ellerm)

キリンホールディングス株式会社 マーケティング戦略部

Lion Pty Ltdでの経験を経て、現在は氷結®も含めたキリンビール海外マーケティング戦略を担当。

松村 孝弘(まつむら・たかひろ)

キリンビール株式会社 マーケティング部

RTD・スピリッツカテゴリー戦略を担当。

氷結®が変えたチューハイの常識

氷結®シチリア産レモン、オセアニアで展開している氷結®︎、氷結®mottainai、氷結®無糖の缶。

2001年に誕生した氷結®は、どんなコンセプトで日本のRTD市場に臨んだのでしょうか?

松村

2001年当時のRTD市場は、焼酎ベースのチューハイが主流でした。「アルコール感が強い」「人工的な味わい」といった印象をもたれることもあり、どちらかというと年配の男性に親しまれているカテゴリーだったんです。氷結®の立ち上げにあたり、開発チームは「チューハイを変える」「新しいチューハイ体験をつくる」という目標を掲げました。目指したのは、もっと飲みやすく、これまでチューハイになじみのなかった人でも気軽に手に取れるようなチューハイ。モダンで、クリアで、リフレッシュできるという新しいRTDの概念を持ち込むことで、より多くの方に楽しんでもらいたいという思いからスタートしたブランドです。

氷結®といえば、キラキラと反射する凹凸がある「ダイヤカット缶」ですが、採用にはどのような経緯があったのですか?

松村

ダイヤカット缶は、洗練されたデザインを目指して生まれました。表面の凹凸は見た目の印象だけでなく、缶を開けた瞬間のカシュッという音や、持ったときの感触まで含めて、氷結®ならではの体験につながっています。手にもしっかりフィットして滑りにくく、手になじみやすいという機能面での工夫もあります。

氷結®︎のダイヤカット缶

ダイヤカット缶の実現にあたって、一番の課題は何でしたか?

松村

缶の表面に凹凸をつくるということは、缶の強度に影響します。炭酸の内圧に耐え、製造から輸送、店頭に並ぶまでのあいだ、安定した品質を保たねばなりません。そこでパートナーである製缶会社さんと密に連携し、何度も試作を重ねて実現していきました。当時は前例のない技術だったため、サプライチェーン全体を巻き込んだ大きな挑戦だったと聞いています。

常に“半歩先”を。ブランドコンセプト「Always New」に込められた想い

オセアニア地域で展開している氷結®やアメリカで展開している氷結®、氷結®無糖や氷結®mottainaiを前に話すレイチェル・エラーン。
日本で展開している商品と海外で販売されている商品。海外の氷結®は、現地のお客様の味覚に合わせて果汁の配合やフレーバーを調整している。

氷結®は長らくブランドコンセプトとして「Always New」を掲げてきました。その言葉には、どんな想いが込められているのでしょうか?

松村

「Always New」の根底にあるのは、「チューハイを変え、新しいチューハイ体験をつくる」という開発当時の志です。時代や社会、お客様のニーズが変化しても、氷結®は常に“半歩先”を行き、新しいおいしさを届け続けていこうという精神です。お客様の変化にただ“反応”するのではなく、変化を“予見”して新しいブランド体験を提案し続ける姿勢が「Always New」です。

レイチェル

イノベーションは氷結®の核でもあります。日本のチューハイ市場に新しい価値を持ち込んだことやダイヤカット缶だけでなく、新しいフレーバーの提案や、「氷結®無糖」「氷結®mottainai」といったラインアップの拡充など、常に新しいお客様価値を追求してきました。私たちが大切にしているのは技術だけではありません。お客様が氷結®に出合い、手に取り、飲んでいただくまでの体験そのものを磨き続けることを目指しています。

氷結®︎のラインアップを前に話すレイチェル・エラーンと松村孝弘

氷結®︎ブランドとして、多様な商品を生み出すうえで、何を大切にしていますか?

松村

ブランドの変わらない価値を見極めたうえで、お客様の嗜好や環境の変化にブランドらしく応えていくことです。店舗に足を運んだり、SNSを見ながら、お客様が言語化できていないけれど、求めていることは何かを探し続けています。

レイチェル

日本でもグローバルでも、RTD市場は変化のスピードがとても早いんです。お客様の好みも少しずつ変わっていくので、長く愛されるブランドであり続けることは簡単ではありません。だからこそ大切なのは、お客様の声に耳を傾け続けること。氷結®を選び続けてもらえるように、新しい価値を届けていきたいと思っています。

ちなみに、おふたりが個人的に好きな氷結®は何ですか?

レイチェル

来日して1年になりますが、日本で食べるフルーツのおいしさに感動しています。そのなかでもライチが一番好きなので、「氷結®塩ライチ」がお気に入りです。

松村

夏の期間限定商品ですね。毎年発売するたびに、お客様はもちろん、レイチェルからも大反響をもらっています(笑)。

レイチェル

そう、大好きなんです(笑)。

松村

私は「氷結®無糖 グレープフルーツ」です。食事との相性が抜群で、フルーツの甘みとほのかな苦みのバランスが絶妙ですね。

「変えないもの」を守り、変えていく

氷結®︎のラインアップを前に話す松村孝弘

ロングセラーブランドでありながら、なぜ氷結®は変化し続けられるのでしょうか?

松村

大切なのは「変えないもの」と「変えるもの」を明確に区別することです。果汁のみずみずしさやクリアで爽やかな味わいという「氷結®の根本的な価値」は変えません。一方で、「氷結®無糖」や「氷結®mottainai(※)」などのようにラインアップは時代の変化に合わせて広げていきます。実は定番のレモンの味も、25年間同じように見えて、10回以上リニューアルを重ねています。

※氷結® mottainai=おいしいのに規格外になってしまった、全国各地のモッタイナイ果実をチューハイに。さらに売上の一部を農家の支援のために活用することで、フードロス削減と日本の果実農家支援を叶えた商品。

<参考リンク>“モッタイナイ!を、おいしい!に”。 『氷結®』から果実農家を応援する商品が誕生!別ウィンドウまたはタブで開く

レイチェル

「ブランドは永続するが、プロダクトは移り変わる(Brands endure, but products change)」という言葉があるんですが、氷結®はまさにその考え方を体現しているブランドだと思います。変わらないおいしさや安心感を大切にしながらも、常に色んなチャレンジをしてきました。それができるのは、現状に満足せず、もっと新しい驚きをお届けできないかを考え続けているからです。

オセアニア地域・アメリカへのグローバル展開と「氷結®Global Brand Book」

オセアニア地域で販売されている氷結®。低カロリーでありながら、アルコール度数は6%としっかりとした味わいを楽しめる。

氷結®の海外展開についてお聞きします。氷結®が海外へ広がっていったきっかけは何ですか?

松村

氷結®が海外へ広がっていく大きなきっかけになったのが、オーストラリアとニュージーランドでの展開でした。2023年に、キリングループのオセアニア酒類事業を担うLIONが「キリン 氷結®シチリア産レモン」を現地で製造し、「KIRIN HYOKETSU LEMON」として発売しました。さらに2026年3月にはアメリカでもオリジナルフレーバーである「ストロベリー」と「パイナップル」を、フロリダ・ハワイの2州で発売しました。

レイチェル

日本で長年続いてきた実績があったからこそ、世界にも挑戦する機会が生まれました。ニュージーランドでは、氷結®は「日本発」のRTDブランドであることを打ち出し、結果的に多くのお客様に受け入れられました。現地の方々が日本の商品に抱いている、品質や信頼への期待に加えて、「新しいことに挑戦する」といったイメージに共感いただいたことも追い風になり、発売からわずか11カ月でライトRTDカテゴリー(※)のNo.1ブランドになりました。日本で磨いた氷結® らしさを大切にしながら、現地の市場に合わせた商品づくりをしたことが実を結びました。

※ライトRTDカテゴリー:チューハイやカクテルなど、低アルコール飲料のカテゴリー。

氷結®Global Brand Bookの表紙
氷結®Global Brand Bookの表紙

松村

氷結®が海外展開を進めるなかで、どのエリアでも同じ方向を向いてブランドを育てられるよう、マーケティング担当者向けに「氷結®Global Brand Book」を制作しました。このブランドブックでは、氷結®らしさの核となる「氷結®の中核を成す7つの要素」と、各国のお客様に合わせて工夫できる範囲の両方を整理しています。

1. ブランドパーパス:「お客様の今日を明るく爽快にする」
2.ブランド名:氷結
3. ブランドロゴ
4. 氷点凍結製法
5. 透明な液色
6. テイストカーブ
7. ダイヤカット缶

レイチェル

長く続くブランドに必要なのは「共有すること」と「守ること」のふたつです。世界中どこにいても氷結®らしい体験を提供できるようにしつつ、現地のチームがそのエリアのお客様に対して工夫できる自由度を残す。単なるルールブックではなく、世界の仲間と一緒に成長するための「成長の基盤」としてブランドブックをつくったのです。

氷結®︎のラインアップを前に微笑むレイチェル・エラーンと松村孝弘

ブランドブックの制作過程で印象的だった議論はありますか?

松村

ブランドの考え方やニュアンスを、直訳ではなくその背景にある想いまで含めて伝えることが一番難しかったですね。とても抽象的で難しいものでしたが、レイチェルやご協力いただいた皆様と何度も対話を重ねながら、グローバルで共有できる氷結®の軸をかたちにしていきました。

レイチェル

本当に大変な作業でした!何度も失敗しながら「この言葉の本当の意図は何か?」を話し合いました。結果として、海外チームも「自分たちのブランドだ」という愛着と誇りを持てるブランドブックになったと思います。

松村

対話を重ねるなかで、世界でひとつの「氷結®ブランド」をともにつくっていこうという海外チームの強い情熱を、肌で感じられたことが印象的でしたね。

お客様の今日を明るく爽快にするためのイノベーションを

大きい窓の外の景色を指さしているレイチェル・エラーンと、同じ景色を見つめている松村孝弘が対話している様子

各国で展開するうえで、氷結®が大切にしている“キリンらしい価値提案”とは何でしょうか?

松村

「品質」と「イノベーション」です。日本の厳しい市場で磨き抜かれた妥協のない品質こそが、世界でも勝てる最大の強みです。

レイチェル

それに加えてキリンには「お客様本位」という考え方が根付いています。ダイヤカット缶ひとつとっても、つくるのは簡単ではありません。それでも、お客様の手にした瞬間の心地よさや飲むときの体験を大切にしたいからこそ続けています。技術だけでなく、お客様にどう感じていただくかというところまで考え抜く姿勢が氷結®の強みだと思っています。

氷結®の「次なる新しさ」をひと言で表すと何ですか?

レイチェル

“Brighten This Moment(お客様の今日を明るく爽快にする)”です。これは、私たちがグローバル市場に向けて設定したブランドパーパスです。これからの氷結®︎が描く未来も、きっとこの言葉につながっていくと思います。

松村

氷結®を通じて、お客様の日々の暮らしを明るく爽快にすること。それが、私たちが大切にしていきたいことです。そんな体験を、これから世界中のお客様に届けていきたいと思っています。

クレジット
Photographer
Yuki Nasuno
Interview & Text
Yu Ebihara
Editor
Ai Hanazawa

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