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次のキリンが、見えてくる
ビジネス・経営

【動画】キリンホールディングス南方社長インタビュー 長期経営構想「Innovate2035!」の現在地

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キリングループのリーダーたちは「次のキリン」の姿を、どう描いているのか。動画と記事を通じて、リーダーたちの生の声を伝える「From Leaders」。第1回となる今回は、キリンホールディングス社長の南方健志に長期経営構想「Innovate2035!」の現在地をテーマに話を聞きました。

南方 健志(みなかた・たけし)

キリンホールディングス株式会社 代表取締役社長 COO

1961年生まれ。1984年キリンビール入社。2016年にミャンマー・ブルワリー社長、2018年に協和発酵バイオ社長を歴任。2022年にキリンホールディングス取締役常務執行役員となり、2024年3月より現職。

長期経営構想「Innovate2035!」の現在地

キリングループでは、2026年2月に長期経営構想「Innovate2035!」を策定しました。約9カ月が経過した現在地を、どのように捉えていますか。

Innovate2035!は、従業員に対して「キリングループはこの方向に進んでいくぞ」という決意を示したものです。2035年に向けて、キリングループは世界をもっと元気にする会社に変わろう。そのためには、我々がイノベーションを起こし続ける会社にならなければいけない。そう考えて策定しました。

2019年に策定した「キリングループ・ビジョン2027」で、酒類・飲料と医薬に加えて、ヘルスサイエンス事業を第3の柱にするという体制が整いました。そこで今回は、「10年後に向けて、その3本の柱が倒れない、立派で頑丈な家の中身をいかにつくるか」というところから議論をスタートしたんです。

では、その家を強くするものは何か。かなり踏み込んで議論を重ねた末にたどり着いたのが、「イノベーションを起こす最も大切なドライバーは、人と技術である」という結論でした。事業の柱を立てるだけでは足りず、それを支える人と技術の力があってこそ、イノベーションを起こし続けられる。だからこそ、「人と技術の力でイノベーションを起こし続け、世界をもっと元気にするグループを目指そう」と定めました。

策定から9カ月が経ちましたが、「今年のこの時点でこのレベルまで到達していたい」と考えていた水準に照らせば、成果は満点に近いところまで来ていると私は思っています。

話す南方社長の横顔

Theme01: 従業員との対話集会 感じた思いと課題

①KIRIN WAYの実践

変革の文化を根づかせるために、ご自身が現場を回り、従業員と直接対話してきました。南方さんは「現場」への思いが強いですよね。

Innovate2035!では、イノベーションを実践するためのグループ共通の指針として「KIRIN WAY」という、3つの価値観・6つの行動指針を設定しました。

「KIRIN WAY」キリングループの価値観と行動指針 私たちのValues(価値)は3つ。「Pioneer with Innovation(先駆)」自由な発想と遊び心を持って、先んじて世の中に新しい提案をし続けよう。「Consumer/Patient at Heart(お客様本位/患者さん本位)」お客様/患者さんを誰よりも理解し、 生活者と社会の期待を超える価値を探求し続けよう。「Quality in Mind(品質本位)」全ての仕事に誠実に向き合い、生活者と社会が期待する品質を提供し続けよう。|私たちのPrinciples(行動指針)は6つ。「Be Aspirational(志を高く持つ)」ワクワクする未来を描こう。 一人ひとりの高い志が未来を切り拓く。「Leap Beyond(枠を越える)」思い切って外に飛び出そう! 越えた先に、まだ見ぬ世界が待っている。「Go to "Gemba"(Go to "ゲンバ")」事実を掴みに行こう。(=3現主義) すべての仕事の起点はお客様/患者さん、 ゲンバにある。「Unite as One Team(違いを力に変える)」一人ひとりの個性や違いを、大きな力に変えよう。一人で出来ないことも仲間とやれば、必ず出来る。「Act First, Learn Fast(まず動き、失敗も学びに変える)」変化や失敗を恐れず、一歩踏み出そう。 どんな結果にも、必ず学びがある。「Commit to Winning(勝ちにこだわる)」熱意を持って、結果にコミットしよう! 一人ひとりのこだわりが世の中に価値を創造する。

KIRIN WAYを策定してから、日々の仕事の中で「こう意識している」「私はこんなふうに実践している」、あるいは「KIRIN WAYを受けて、こんなふうに仕事を変えています」といった言葉が、従業員一人ひとりから自然と出てくるようになりました。そうしたコミュニケーションが自然にできていることが、私としてはうれしくもあり、心強くも感じています。

6つの行動指針の中で、私自身も口を酸っぱくして言っているのが「Go to “ゲンバ”」、とにかく現場に行こうということです。これは国内の従業員だけでなく、海外の従業員の皆さんも「Go to “GEMBA”」と口にしてくれています。

笑顔で話す南方社長

今後グローバル化を進めていく中で、キリングループで働く上での共通の価値観や行動指針は、やはり大切にしたいと考えています。そして、それに共感してくださる方々にこの会社に集まっていただきたいですし、KIRIN WAYを通じて、私たちの思いを感じ取っていただきたいですね。

そのためには、特にリーダークラスの従業員が、KIRIN WAYを自分ごととして、自分のチームのメンバーに熱く語れるかどうかが大きなカギになると思っています。

②これからのキリンに必要な「個の強さ」

キリンの社風の強みと課題を、どのように見ていますか。

キリンの社風として、温かみがあって、とてもチームワークよく仕事ができるという声は、キャリア入社された方々からもよく聞きます。一方で課題はというと、「一人ひとりが自分のやるべきことを徹底的に突き詰めるこだわりが、もっとあっていいのではないか」と言われるんですよね。個人としての成長を、もっと求めてもいいのではないかと。

もちろん、チームとしての勝利は大事です。ただ、それを実現するには、一人ひとりがもっとたくましく、強くなければいけない。個性を大事にして、そこを極めるような人にもっとフォーカスを当てていくことがあってもいいのではないかという話は私にも届いていますから、なるほどと思いますね。まだ少し甘いところがあるのかもしれません。

「和」を大切にすること自体はキリンの良さだと思います。でも、和ばかりを気にしすぎて、とがった人間が出にくい環境になってしまうのは良くない。とがっていていいんです。いろいろなとがりを持った人が集まったほうが、イノベーションは起こしやすい。みんなが丸くなってしまったら、化学反応は起きませんから。

チームワークに加えて、個の強さ。両方がなければいけないと思います。だからこそ、キリンはむしろ個性をもっと強め、大事にしていかなければならないと思っています。

③対話集会を経た自身の変化

これまで対話集会を実施してきた中で、ご自身の変化などはありますか。

対話集会を通じて、まさにこの「Go to “ゲンバ”」を実践しています。国内外の従業員と同じテーブルを囲み、今の仕事の状況や業務上の課題をいろいろ聞くわけですが、学ぶことが非常に多く、以前に比べてそうした時間が大きく増えました。従業員の話を聞いて、こちらが励まされたり勇気づけられたりすることもあり、毎回ワクワクしながら楽しませてもらっています。
現地ではお客様にお会いする機会もあり、外から見たキリンの率直な声を聞けるのも非常に有益です。

対話集会や現地で得た情報を持ち帰り、重要なことは経営の課題としてしっかりフィードバックしています。自分が感じた問題意識をすぐに経営の課題として織り込めるので、このスピード感は以前より増していると感じます。

Theme02: 「挑戦が生まれる組織」への変革

南方さんが考える「挑戦が生まれる組織」とは、どのような組織でしょうか。「挑戦」と口に出すのは簡単ですが、実践するのは簡単ではないと思います。

日々の仕事の積み重ね、小さな改善、「今日より明日はこうしてみよう」という地道な変化も、私たちはイノベーションだと考えています。ですから、全員がイノベーションを起こす主役のつもりで取り組んでほしい。それが結果的に「挑戦」につながると思っています。

イノベーションとは、誰かがどこかで起こしてくれるものではない。自分が何かしなければ会社は変わりません。自分が動くことが、将来の新しい成長につながる。そう思ってもらえるように、当事者意識をどれだけ持てるかが大事だと考えています。打率も大事ですが、それ以上に、どれだけ打席に立って打数を稼ぐか。そこを少し意識してもらえるといいですね。

こぶしを前に出して話す南方社長

それから、もっと外の世界を見てほしい。日頃どうしても内向きになりがちなら、とにかく外に出る時間、現場に行く時間を持って、お客様の声を聞き、お客様の行動を自分の目で見る。どんどん自分を外にさらけ出すことを意識すれば、自分自身の考え方や意識も変わりますし、結果として新しい挑戦につながっていくと思います。

勇気を持って挑戦しよう。多少うまくいかなくてもいいじゃないか、また学んで生かせばいいんだから。そうした思いも、今回のKIRIN WAYに埋め込んでいます。

もちろん、いい結果が出るに越したことはありません。ただ、それ以上に、どれだけその場を経験しようとしたのか。その意思も行動も評価していくということを、今回、制度の面でも変えました。もっと失敗を許容して、そこから学んでいくことを期待していますし、会社としても推奨していきたいと思っています。

Theme03: キリングループ価値観「先駆」に込めた思い

Innovate2035!では、「先駆」「お客様本位/患者さん本位」「品質本位」の3つを価値観として掲げています。中でも「先駆」に思い入れがあると聞いています。その言葉にどのような意味が込められているのでしょうか。

時代の先を読んで、誰もまだやったことのないような発想も取り入れながら、いろいろなことに挑戦していく。失敗も多いでしょうが、その中にはいくつか、大きく花開くものもあるでしょう。そういうことを、ある意味、求め続けていきたいのです。

私たちが、これからの社会の課題をどれだけ自分たちで掘り起こせるか。生活者の将来の生活スタイルを思い浮かべながら、「こんなサービスや商品があったらいいな」ということを自分たちが先に考えて、どんどん提案していく。そういうことだと思っています。

お客様や生活者の期待の、さらに先を行く。そういう意味での「先駆」を目指したいですね。

Theme04: 2035年のキリングループ像とは

2035年、Innovate2035!が実現したとき、キリングループが社会からどのような会社として認識されているとうれしいですか。

私たちは今、事業ポートフォリオを大きく変えて、酒類、飲料・ヘルスサイエンス、医薬の3本柱がしっかり立った家をつくろうとしています。そうなれば、「キリンって、実はお酒もつくってたんだね」「健康のこと、けっこうやってるじゃん」「意外と身近な存在だよね」「いろんなことをけっこう提案してくるね」「ちょっとうるさいくらいだね」と(笑)、そんなふうに思っていただけるのではないでしょうか。

斜め横から撮影した、話す南方社長

生活者の身近にいつもいて、何かうれしい瞬間に、私たちの商品やサービスがそばにいてくれる。これからの社会では「ウェルビーイング(肉体的・精神的・社会的に満たされた状態)」が大きなキーワードになりますが、そのウェルビーイングの中心に、私たちのさまざまな商品・サービスがそろっている。それが、私たちが本当に目指す一つの形だと思います。

最終的には、経営理念にある「新たなよろこびを広げる」ということ。「キリングループの商品が入ってくれて助かる」「毎日がこれでハッピーだ」と思っていただけるような、そんな生活シーンに寄り添っていたいと思います。

クレジット
インタビュー
丸尾弘志(日経BP総合研究所)
動画撮影・編集
玉手佑弥(日経BP)、早瀬祐介(MAMEZ)
写真
名児耶洋
編集
日経BP総合研究所

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